おつかれさま

仕事でスーツが必要で、大阪の家に戻っている。

で、さっき別れた。

ちゃんとお話して別れた。

私が嘘に気づいたのもちゃんと告げた。
嘘に気づいて、嫌いになりそうになって、この一週間、家を出ていた事も白状した。
サークルに甘えるのはやっぱりよくないことだという、私の考えも告げた。

彼はきちんと聞いてくれた。

「てるこさん、それでも俺の事好き?」
と、彼が尋ねる。

「それでもね、好きよ」

といったら、彼、「そっかあ」って、黙った。

それから、ぽろぽろ涙を落とし始めて、
「おれ、ずっと考えてて。仕事中も、家にいるときも、ずっと考えてて」と、詰まり詰まり、言った。

彼が再び黙ってしまったので、
「好きだけど、私はあなたが楽なようにしたい。あなたが置かれている今の状況(留年)は、余裕のある状態ではとてもないから、出来るだけ楽に過ごさねばならない。私の事でそんなに気を病んで、痩せしまってはいかんよ」
と、私は伝えた。

……なんでしょうね。
好きだけど、好きだから、彼を楽にしてあげたくてさあ。
このままこの人、ほんまだめになってくと思ったんよね。
そしたらもう自分の成すべき事はわかってんじゃんさー。

やから、別れの言葉を躊躇する彼に、
「恋愛、疲れちゃったね。休まなきゃダメだね。」
と、うちが促した。

彼はたくさんうなづいて、

「てるこさんのことは、尊敬しているし、すごく、素敵な人やと思う。
今でもやっぱり、この気持ちが戻るんかどうかは判断が付かない。でも、いまは・・・しんどい」

と、ぼろぼろ涙をこぼした。

「うん。うん。沢山考えて、疲れたねえ」

精一杯優しく同意したけど、私はさっき自ら言葉を放つとき、
彼にもう触れんと心で決めたから、今までみたいに撫でたりはしなかった。

ティッシュを渡すと、彼は泣きながら、少し笑って、
「恋愛ってけっこうしんどいね」 と、言い、

「わかれよっか。今まで、ほんとに、ありがとう」
と、一文節ごと、物凄く丁寧に、言った。

「離れなきゃ、一緒にいては同じだよね」と、
私が提案して、彼は家を探すことになった。

引越しも結構なパワーを使うから大変だけど、まあ今はしょうがないな。
目先の引っ越しのめまぐるしさで少しでも彼の恋愛のしんどさと
別れのしんどさが紛れると良いと思う。

なんだろうな。うち泣かなかったんよ。

むしろね、ようやく踏み出した気分。

私、好きだし、時間を置いていつかまた一緒に歩けたらいいなあと思ってるんよね。
そのためにも今はこれが一番よかったと思うねん。

私ももっといい人を見つけるかもしれないから、この気持ちがいつまで続くかはわからないし、
向こうだって私よりいい人見つけるかもしれないし、すべてはご縁の事だけど、
とりあえず今は、こういう事になりました。

仕事に行かなきゃな。
今日これから南港でイベントなんよ。
いつも気にかけて声をかけてくれる、大切な友人たち、ありがとう。
みなさま、行ってきます。