歩きだす靴

生前、お母さんに買ってもらった靴
もうとっくに履き潰しているのに一昨年の引越しの時も捨てられなくて
沢山泣いていたら、彼が「みんな連れてこうね」と言ってくれた靴。

春の前に捨てた。
「てぇーい!」って、捨てた。

「物」も「人」も、「漫画」とか「音楽」なんかもそうなんだけど、
なんとなーく自分にとって必要な時期があって。
時期を過ぎると、必要なくなる感覚がある。

“不必要”とまでは言わんけど、卒業する感じ。それが来たんだ。

ホワイトデー、彼が春色の靴を買ってくれた。
今日はそれを下ろそうと思う。

私はこれからこの靴を大切にするんだ。
履けなくなったら、その時々の自分に似合う靴を探して「この靴がほしい」と言う。
生きている私達にはそれが出来る。