昔好きだった人に会った。
思い出は時間が経つ毎に境界線が無くなって、泥水だかコーヒー牛乳だか
区別が付かなくなっていたけれど、会ってみたら途端に輪郭がはっきりした。
言葉交わすごとに、ああこの人のこういうところが好きだったな、とか、
でもこの人のこういうところは自分と合わないな、とか、
ひとつひとつ思い出し、確認していった。
昔よりも表情は柔らかく、良い顔をしているように感じられた。
きっと素敵な人たちに囲まれているんだろう。
私は、遠くの街で暮らすその人の人生にほとほと無関係で
ほんの僅かな足しにすらなれないけれど、
どうか幸せでいて欲しいなあとしみじみ思った。
いつになるかわからないけど、いつかまた柔らかい笑顔で会えたら。