喧嘩と手相の話

彼と喧嘩をしている。一昨日彼を怒らせてしまったのだけど、私は
「彼が私に怒りの矛先を向けるのは違うのでは、自分は悪くないのでは?」と、不服に思ってる。

昨日、七夕は彼の誕生日なので、ケーキを用意していた。仲直りのきっかけになればと思った。
”お祝い”はその人のためにすることで、自分のためじゃない。
だから何かを期待したりなんかしちゃいけないんだけど、
でも本音を言えば仲良く一緒にごはんを食べてお祝いをしたかった。
……って!!! あったりまえじゃんなー!そんなの!!
無償の愛だのアガペーだの美しいけどそれだけで生きてけるっつーかよファックファック!!
でも叶わんかった。喧嘩三日目しょんぼりですよ。

ケーキの箱の「本日中にお召し上がり下さい」のシールを見てたら言いに知れぬ悲しみがこみ上げてきて、いっそ「これはあなたのために用意したケーキなのであなた自身で捨てて下さい」と書き置きをしようかとも思ったんだけど、そんなことのためにこのめっちゃかわいい七夕ケーキは生まれてきたわけじゃないし、ほんとめっちゃかわいいケーキなのに捨てるなんて忍びないのでビール飲んでtwitterでクダ巻きながら食べた。
「しかしながらこういうわけのわからないブチギレもまた彼なりの甘えなんやろな。
そもそも他人に本音を見せない人だし、私に本音晒すにもこの不器用な有様であるよ。
にしても、お祝いに用意したケーキを一人で食べるの、結構精神的にくるな!」
などと言いながら、好きな人と自分ために用意したケーキ、一人で食べた。

今日になって、占いサロンの受付さんが、「twitter見たけど元気?」と、気遣って声をかけてくれた。
鳥さんのかわいいシールをくれた。うれしかった。

私の所属するお店はフォレストランプという名前で、
「ここはクライエントがクライエント自身の内側に眠っている歩き出すためのチカラを思い出す場所。
このお店の私達は、暗い森を歩く人の足元をふわりと照らす存在」というコンセプトがあるのだけど、(わたしこのお店大好き!)受付さんのその一言は、まさに足元をふわりと照らす光みたいだった。

受付さんは一人の同年代の女性として親身に温かく、オンナの愚痴を聞いてくれて、
「それさー、彼の繊細さも伺えるけど、でも腹立つよ。めっちゃ腹立つよ。
10人いたら8人が怒るしチョップしていいって言うと思うよ!!!」
と、ジャッジした。憚りながら私もそう思う!!!

仕事柄、いろんな人のいろんな価値観のお話を聞くので、何が普通か、何がニュートラルか、
「もしかしたらおかしいのは私の方かも?」と感じることも度々なのだけど、
(そうやって、自分を盲信せずセルフアウェアネスすることもまたとても大切な仕事)
受付さんに「それ怒るよ!」と言ってもらったら、すごくホッとした。女は共感が得られると強くなる。

受付さんが、最近火曜日担当にお引っ越ししてきた手相のキタデノブヨ先生に声をかけて、
手を引いてブースへ来てくれた。
キタデ先生にはお取り込み中のところ申し訳ないと感じる一方、
「受付さん、こうやって人と人を結ぶ才能あるよなあ。さすがだなあ」なんて冷静に感心した。

キタデ先生に
「いやもうねえ、彼と喧嘩をしてましてですね。もういい加減疲れたし今回ばかりは頑張れない。
仲直りよりも、大事な人と道を別けても人は立ち直れるのか、そっちに興味が行く。」
と、グニャグニャになって訴えたら、
「手、組んで! はい、開いて見せて!」 と歯切れのよい凛とした声が飛んで、
反射的に手を組んで開いた。

手相を先生に見せたら、開口一番「あっ、恋愛運の所、怪我してるよ?」とのだった。
……そういえばまさに喧嘩になった時間の直前だか直後に、確かに手、怪我したのよ。
不思議すぎて「ファー!?!?」てなったわ。

手相を見てもらいながら、
「生命線が短いので心配。彼と一緒に長生きしたいけど迷惑かかるのでは」とか、
「この下向きの結婚線はもう少しどうにかならんだろうか」とか、
なおもグニャグニャと寝言のようなことを口走っていたら、キタデ先生に
「それって自分の中でしっかりと着地点決まってるじゃない!」と指摘された。
確かに、冷静に考えれば別れたい人間のセリフではない。
「自分でしっかり道を決めてる人は大丈夫。」と言葉をもらって泣きそうになった。
そうですね、そうですね、と思った。

一人(独り)では得られない視点を得るために、人は第三者を必要とする。
思いがけずクライエントの側に回らせてもらえて、よかったなー。今日なー。

小学校からの友達がメールをくれた。
「逃げ場にしていいのよ。よかったら泊まりにおいで」って。ありがたい。
友人や仕事のみんなやtwitterのみんな。
優しいみんなが少しずつ心を温めてくれるから呼吸が楽だ。

週末は、友達のお家に身を寄せる。
彼はサークルの後輩に呼ばれお誕生日会。たぶんオールして返ってこない。
手のひらの傷が治る頃にはちゃんと仲直りしたいなー。