さてまあ同棲中の彼氏と別れそうです。

二週間ほど前、私が実家に帰って、大阪に戻っていたら関係がおかしくなってた。
部屋に篭り、挨拶もろくに返してこない。
話しかければ会話は成立するし、やさしくしてはくれるけど、そこに愛が感じられん。
ある日なんて話しかけたら「寝る」の一言でぴしゃりと部屋の戸を閉められてしまった。
今までそんなこと一度だってなかったのに。

7月最後の日、
「お別れも視野に入れて、ちょっと検討会をしようか」
私が切り出すと、彼はすこしきょとんとして、
「ああ、うん。でも、なんでそういう話になるのか理解らない」
と返事して、私の前に座った。

「先が見えないし、このところ、愛を感じないから」
彼は黙って、やがて息を吸うと、
「実は数日前から、少し俺も考えてた」と言った。

好きなのかどうなのか理解らなくなった。
今日だって二人で住吉大社の夏祭りに行って、そういう一緒にいる時間も嫌いじゃないんだけど。
もし俺が別れるって言ったら、てるこさんの2年半を無駄にしちゃうことになるのかなって考えてた。
態度に出てしまっているのは自分でも感じていて、ヤバいなとは思っていた。
一時的なものなのか、もう駄目なのか、自分でもまだ判断がつかない。
せっかく気が合って趣味が合って、こういうまじめなことを話せる相手は
自分にとっては貴重だから、なんとか浮上できればいいなと自分でも思うんだけど。

「うちの2年半なんかはどうでもいいよ。無駄じゃないし。自分がどうしたいかだよ。別れたい?」

彼は決して「別れたい」とは口に出さなかったけど、私のことを好きだとも言わなかった。

先週まで犬のようになついていた人間が急にこれだから、私もちょっと混乱してきて、
悲しくなって、これで終わってしまうのかと思うとすがりたい気分になって、
でもすがったりしたら本当に嫌われてしまうから、
「だめだ、ちょっと考えよう。別れるにしろ別れないにしろ、形はどうあれ
今後もいい関係ではありたい。最善の為に、距離を置いてみよう」と提案した。

自分で言っといてなんですが、距離を置くってねえ。同じ家なのに。

おかしな話だねえと二人で微かに笑って話を終えた。
いつの間にか時計の針は日付変更線を越え。
これまでとは違う8月になる。