成人式の準備

12日、深夜二時半。眠い目をこすり起床。親友のありぷと二人、駅前の美容院に向かう。

一歩踏み入ればそこは戦場。なにせ田舎の美容院、年に一度の稼ぎ時なのだろう。
おばちゃん、おばあちゃんが総出でヘアメイク、メイク、着付けに当たっていた。
同級生の懐かしい顔が時間差で次々と来店する。
「久しぶり」と挨拶しているあいだにもどんどんメイクが完成してゆく。

午前四時。ヘアメイク、メイク、着付けが終了。帯がキツすぎて素で息ができない。
「息できへん…」と呟くと、美容師さん一言「息しなきゃシヌヨ。慣れるから頑張って」
死にたくはないので死ぬ気で息をすることにした……。

午前5時半。カメラ屋に向かう。
スタジオは仕切りでいくつかの小部屋に分けられていた。
バッグにしゃぼん玉が飛んでいたり、ししおどしが鳴っていたりする前で、
振袖の麗しい女の子達がぎこちなくポーズを決めている。仰々しさに大爆笑。
そして自分もやるのかと思うと次の瞬間には逃げたくなった、が、捕まった。

「久しぶりやの。」
地元の小中高校専属カメラ屋の息子、通称キムカメ……。
中学校の修学旅行の時、部活の後輩女子から「○○くんの写真がほしいんです!」と依頼され、
電車の中で当該男子を「マテやコラー!」と追いまわしていたのだがなかなかうまくいかず、
そこに協力してくれたのがこのキムカメ(息子)だったので、
私は他の学年女子よりもちょっとだけキムカメと仲がいい。
「お元気そうで何よりです~(愛想)」
「澄まさんでもええやん。しかし自分、顔変わらんな」
「ほっとけや!自分も大概じゃっ!(#゚д゚)ノ =┻┻ スパァン! 」
「作り笑いも相変わらずうまいな~アハハ、アハハ」
いじめを受けながら振り袖での写真撮影終了。
いつかこの借りは返す、と、心に誓い実家に帰る。そして力尽きる。
……成人式まだなのに(;´Д`)

現在午前6時台。
成人式は準備こそが本番やもしれん。