漫画な恋の結末は

高校3年生のある日、放課後暇だったので1組に寄ったら、友人の女子数人がなんや騒いでいた。
Kちゃんの机に「お前誰や!」という奇妙な落書きがあったらしい。
「朝見つけたんよ……。なんやろ、気分悪いわぁ」
当事者Kちゃん、首を傾げる。
「いたずらやろ。移動教室の時に誰か書いたんちゃうん?」
「でも昨日の授業、移動教室なんて無かったで……」
「と言うか、何を意図した落書きなのかわからんな」
興味半分気持ち悪さ半分、予測憶測飛び交わせる一同。
「ええい、 埒 が あ か ぬ わ !」
しまいにMちゃんがKちゃんの机に「お前こそ誰や!!」と書き殴り始めた。
「返事があったりしてねー」 「まさかねー、アッハァ!」
なんぞと言いつつ、その日は解散。
明日にはこの誰かのいたずら書きも、Mちゃんの書き殴りも、消しゴムでギュッと消してオシマイ。……と、その時は誰もが思っていたのだが。

翌朝、Kちゃんの机にまさかの返事が!
名前が書かれている。どうやら男の子らしいが、それは少なくともうちの学年では聞いたことの無い名前だった。
んー、待てよ? 昨日の放課後、我々はかなり遅くまで盛りあがってたよなあ。その後誰かが教室を訪れてこれを書いていったとは、到底思えんぞ……?
こいつぁー本格的に気持ち悪い。一体誰の仕業だ。
不安そうなKちゃん。
話し合った結果、こちらの人間の名前を連名で書き、「気になっています。本当に、誰ですか?」と、机に書いて、返事を待つことに。

そして三日目、謎は全て解けた。そりゃもう、いともあっさり。
「俺は定時制でこの机を使っている者です。落書きしてすみませんでした」
盲点。そうでした。1組の教室は定時制のクラスも使っていたのでした。
なんだぁー。お化けの仕業じゃなかったのかぁー。
舌打ちと共に、騒ぎは一旦の収集を向えた。

が、その出来事をきっかけに、Kちゃんと定時制くんとの机上の文通が始まった。
最初はお互い退屈な授業の暇つぶしだったのかもしれないが、次第に深まって行く二人の仲……。
ひと月ほど経ったある日、顔も知らぬ二人はついに逢引きの約束を交わす。

「がっかりされたらどうしよう!」
「眼鏡ははずした方がええんかなぁ……」
当日、一日中動揺しっぱなしのKちゃん。
「大丈夫やってぇー! プププ」
おもしろ半分に励ますギャラリー。
そして放課後。
夕暮れに赤く染まる校門で、見知らぬ人を待つKちゃん。
現れる男の子。
「初めまして」から始まる二人の会話。
校門から少し離れた自転車置き場から、ニヤニヤと観察するみんな。
その後も何度かの逢引きを重ね、Kちゃんと定時制くんはめでたくお付き合いを始めることに。
(そしてKちゃんは眼鏡からコンタクトレンズに移行。さらにべっぴんさんに。)

「いやあ、あるんやねえ。こんな『りぼん増刊号』の読みきり漫画みたいな素敵な恋の始まりが!」
そんな感想を述べ合った、5年前の若かりし日。

(´-`)゜

まさか二人が結婚まで漕ぎ着こうとは、あの時誰が思ったろうな。

いやあ、あるんやねえ。こんな『別冊マーガレット』の読みきり漫画みたいな素敵な恋の結末が……!

to 身内→ ちなみに私は先日Mちゃんから聞いたよ…。アカネとうちはぶっ飛んだよ……。「続いてたんかい!」と……。

jr Mちゃん’s Jr、シカメツラー!