本番前日

卒業公演の戯曲が配布された際、津島輝子という登場人物について九鬼先生は
「この人謎なんだよな。旗揚げする劇団の製作につくことが彼女にとって人生の転機になったりするのかもね」と言った。
ぼんやりとした微妙なキャラ津島輝子。それが私の配役。

「輝子は人の言葉受けてやっと喋ってるような子だから、周りから任されて製作になっちゃったようなカンジがするんですよね」
私が発言すると、九鬼先生は「それあるよね」と言った。

物言わずボーっとしてるけど周りをちゃんと見てて、仕事はこなすけどなんか弱腰で。
那須さんに引いてるけど「帰ろう」と誘われたら断われなくて、
ブチ切れたら実は劇団の三大巨頭を黙らせる勢いを持つ、津島輝子。

演じ方には役に自分を近づけるやり方と役を自分に近づけるやり方がある。
私は津島輝子のようにおどおどしていないので役に自分を近づけなくてはならない。
津島輝子は何を思い言葉を発し、どんなリアクションをするのか。
このところずっとそういうのを考えている。

……あーあ。明日本番やったら、終っちゃうのか。
津島輝子について考えるのも今日明日で最後。切ないな。
気が早いけど、またどっかで演劇やりたいな。
……舞台に立つ行為には中毒性があるって本当なんだな。

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